着床前診断

今日は昨日までとは、がらりと変わり、夏の日差しでした。

昨日は「生殖医療と遺伝カウンセリング」に関する講習会を受けに、東京に日帰りで行ってきました。
数日前に新聞に神戸の産婦人科着床前診断をして、体外受精の妊娠率が70%になったという記事が載っていましたが、着床前診断のこともかなり時間を割いていました。着床前診断とは体外受精でできた受精卵を8細胞以上になったところで、1個の割球を受精卵から取り出し、染色体などを検査し、異常がないことを確認してから、子宮に移植する方法です。
記事によると129組の方に行われ、70例に移植し、50例が妊娠したと書いてありました。移植しなかった129−70=59組の方は異常があったので、移植しなかったことになります。
昨日の講習会は学会が主催するものでしたので、神戸の産婦人科に対してはルール違反であると批判的でした。現在学会でも着床前診断は認めていますが、重篤な遺伝病や染色体異常を有する習慣流産に限って許可されています。分厚い申請書を提出する必要があるとのことで、許可される迄は時間もかかるようです。
神戸で対象となった方がどういう人であったかは、新聞記事からはわかりませんが、重篤な遺伝病を持った人がこれほど多くいるとは思えません。体外受精の複数回不成功であった人や流産を繰り返した人が対象になっていると思われます。
某教授が学会で着床前診断という体制をを始めた時、遺伝疾患の患者団体から、猛烈な反対を受けたと述べていました。いわゆる「生命の差別」ということに繋がるというのが反対理由だったとのことです。医療も社会の中で存在しているわけであるから、医療だけが突っ走ることはできず、厳しい条件をつけ、1例、1例審査する体制になったと述べていました。
神戸の産婦人科には患者さんも大勢詰めかけているでしょうし、反対する人も押し寄せているのではないでしょうか?

先週採卵した方が、採卵ないし移植を契機に骨盤内炎症になってしまいました。消毒や抗生剤の使用など同様にしているのに、なぜ?と自問自答していました。余分な負担をかけてしまい、申し訳ないと思いますし、私もへこみます。
昨年も1名同じことがありました。共通点もあり、検討しなければと思っています。