乳がんと不妊治療

もう数週間前ですが、3月20日に日本APART学術講演会に参加してきました
基礎的なことや、臨床的なことなどありましたが、臨床的なことでは、乳がん患者に対する妊孕性温存のことが話題でした、ここ数年、がんと生殖医療のことはしばしば耳にすることでした
乳がん患者の7%は40歳未満で、生殖年齢と重なります 
乳がん患者が妊娠を希望している場合、どういう人なら、体外受精等の治療をしていいのか?
乳がんエストロゲン依存性の腫瘍なので、排卵誘発をして、エストロゲンを上昇させることは、腫瘍の増殖を助長させると考えれられます 
不妊治療はいつするのか? 乳がんの手術前までに体外受精をして、卵子や受精卵を凍結するのか、それとも手術が終わって、抗がん剤治療を始める前にするのか?
どういう治療をするのか?なるべくエストロゲンを上げないようにするのか?
考えるべき点はいくつもあるように思いました

私は昨年、乳がんの治療がすべて終わって、経過観察している人が、妊娠の希望で受診し、治療した経験しかありません その方は治療は終わっているから、そのほど乳がん治療との兼ね合いをそれほど神経質に考える必要はなかったのですが、それでも、「乳がん患者の妊娠出産と生殖医療に関する診療の手引き」金原出版 を参考に治療しました PCOSもあったので、通常、排卵誘発に使うクロミッドではなく、フェマーラを使い、うまく妊娠し、年賀状で無事出産されたことを知りました

乳がんの治療は外科医が行い、不妊治療は産婦人科医が行うわけで、両者の意思疎通が必要です
そのため、地域によってはすでに、がん治療と不妊治療の間にネットワークが構築されているところもあり、実際に動いているようでした
同じ病院内で、外科と産婦人科が協力するのが、ベストのように思います