最近読んだ本

秋田県産婦人科医会という団体があり、私も入っています その会のホームページhttp://akita-aog.babymilk.jp/に診療のトピックとページがあります 今年の4月に「不妊治療の治療限界について」という題で、拙文が掲載されています 昨年に医会の幹事からこの題で書くように依頼されていました こんなの分かるわけないと思いで、なかなか書けずにいました 
アカデミックな論文を検索しても、この題に見合ったものは見つかりませんでした 文献検索から、見つけたのは、国内で自己卵での最も高年齢で妊娠・出産した人は、48歳で妊娠、49歳で出産している症例があります。その報告では36回採卵し、28回胚移植を行ったが、不成功であった。37回目にアロマターゼ阻害剤を使用した新鮮初期胚移植で妊娠し、生児を得ている、というものでした。


そのほか、論文以外でないかと、探している時に読んだのが、「卵子老化の真実」河合蘭 著です
学会でのシンポジウムで演者として、話も聞いたことがあります
平成25年に出版されていて、マスコミで卵子の老化とか、卵巣年齢とがしばしば取り上げれていた時期でした この本はタイトルの通り、第1章では卵子は生まれた時が最も多く、次第に減少していることや、抗ミューラー管ホルモン(アンチミュラリアンホルモン)のことなどが書かれていますが、第2章以降では高齢出産や出生前診断の話題が多く書かれています 高齢出産も医学的にはいろいろなリスクはあるが、実際に40歳以上で、中には49歳で出産している人の話もあり、高齢出産も良いことあるよ、ポジティブな面も強調されていました ジャーナリストが見ると、こういう風にもとらえれると思いました 医者が書くと、負の面が強調されます 医会の6月の診療のトッピクはまさに高齢出産のことで、リスクのことが書かれています

ですが、この本からは依頼されたテーマには参考になることは少なかったです
依頼文は日本産科婦人科のデータに基づて、書きました 4月に医会のホームページに掲載されていました

つい最近、読んだのが、「不妊治療のやめどき」松本亜樹子 著です
この方も学会のシンポジウムなどで、話を聞いたことがありました 妊活に関するNPO法人Fineの理事長で、肩書も妊活コーチとなっています ご自身も妊活経験者だそうで、治療は終了しているとのことです ご自身の体験や現在治療している人へメッセージなど、経験者だから書ける、realityあることが書かれていました
第3章には治療をやめた16人のその後のことが書かれています ひとりひとり、事情はことなっていますが、共通しているのは、現在は幸せであると言っているところでした これを著者は言いたかっただろうと思いました
第4章には医療者側から、意見も載っていて、医者は慶応大学の教授だった先生の文章がありました
その先生の書いた内容と私が書いた内容が、大きくずれていないことを確認できて、良かったです